こんにちは。ビクアスクリニック院長の伊藤です。
日常生活でこんなことありませんか?
- 家族や知人から眠そうだとよく言われる
- 目が小さくなったと感じる
- おでこのしわが目立ってくるようになった
それは、もしかしたら「眼瞼下垂」という目の病気になっている可能性があります。
下記のチェックリストは眼瞼下垂に関係があるものです。
- 以前より目が小さくなった
- 左右の目の大きさが違う
- まぶたがくぼんできた
- 眉毛の位置が上がってきた
- 二重まぶたの幅が広くなった
- 二重が三重になった
- 額のしわが目立ってきた
- あごを上げて物を見ている
- 頭痛がある
- 肩こりがある
- ハードコンタクトレンズを長期間装着している
もしいくつかの項目に当てはまる場合は、眼瞼下垂の疑いがあるので、クリニックで検診頂くことをお勧めいたします。
眼瞼下垂とは
眼瞼下垂とは上まぶたが十分に挙がらない状態のことを言います。
簡単に言うと、リラックスした状態で正面から見て上まぶたが黒目に3㎜以上かかっている状態です。
まぶたに関して、人は1㎜の差でもしっかり認識できます。
上まぶたが黒目に3㎜以上かかっていると眠たそうに見えますが、
一方で黒目にかかる幅が1~1.5㎜程度であれば、ぱっちりとした目に見えます。
まぶたを挙げる仕組み
まぶたを直接挙げる筋肉には動眼神経で支配されている上眼瞼挙筋と
交感神経で支配されているミュラー筋の2種類があります。
これらの筋肉が収縮することによって目が開きます。
上眼瞼挙筋は挙筋腱膜となってまぶたの縁にある瞼板に付着します。
もし上眼瞼挙筋の筋力が落ちたり、挙筋腱膜が瞼板から外れたりすると
目の開きは悪くなります。
ミュラー筋は交感神経が刺激される=興奮したときには収縮しますが、
疲れたり眠くなったときは逆に弛緩してしまうのでまぶたが下がってきます。
上眼瞼挙筋とミュラー筋以外にまぶたを挙げる補助的な働きをしているのが、額にある前頭筋です。
これは顔面神経に支配されています。
まぶたを挙げる機能が落ちたときに眉毛を挙げて目を開こうとします。
前頭筋を使い続けると額に横シワができ、その結果目と眉毛の位置が離れて
眠たそうな顔になってしまいます。
また、頭痛の原因になることもあります。
眼瞼下垂の原因
眼瞼下垂が起こる原因は様々です。
生まれつき上眼瞼挙筋の筋力が弱かったりその神経に異常がある先天性の眼瞼下垂と、
それ以外の後天性の眼瞼下垂に分けられます。
後天性眼瞼下垂は、骨折などの外傷や脳腫瘍などの病気により上眼瞼挙筋の働きが悪くなるものや、
加齢や外力(白内障手術後、ハードコンタクトレンズ長期装用、アトピーで頻繁にまぶたをこするなど)によって、
上まぶたを挙げるのに重要な役割を果たす挙筋腱膜が薄くなることで起こるものがあります。
この挙筋腱膜が薄くなって起こる眼瞼下垂は腱膜性眼瞼下垂と呼びます。
後天性眼瞼下垂症の多くがこの腱膜性眼瞼下垂にあたり、特に加齢によって起こるものが多く老人性眼瞼下垂とも呼ばれます。
このコラムでは腱膜性眼瞼下垂について説明します。
眼瞼下垂の症状
眼瞼下垂は両眼に起こることが多い病気です。
物が見えにくくなるだけでなく、前述したように上まぶたを挙げるために前頭筋を使い続けて、
おでこにしわが生じることになります。
また、上方の視野を確保するために頻繁にあごを上げて物を見るようになり、結果的に眼精疲労や頭痛、
肩こりや自律神経失調症(不眠、便秘、うつ状態)などが起こったりする場合があります。
目の開きは保たれていても二重の幅が広がったり、二重が乱れて三重になったりすることも眼瞼下垂を起こしているサインです。
挙筋腱膜が瞼板から外れると奥に引き込まれます。
その上にある眼窩脂肪も一緒に引き込まれるため上眼瞼溝(くぼみ目)ができてしまいます。
症例 | 挙筋前転術 |
治療回数 | 1回(術後6か月の写真です) |
費用 | 保険診療適応。自費診療の場合は407,000〜583,000円。 |
リスク、副作用 | 内出血、腫脹、左右差、傷痕、球後出血、視力低下(乱視の乱れ)、ドライアイの悪化など |
また老人性眼瞼下垂の場合は腱膜性眼瞼下垂に加えて、まぶたの皮膚がたるむ「上眼瞼皮膚弛緩症」も
同時に起こしていることが多いのです。
症例 | 上眼瞼余剰皮膚切除 |
治療回数 | 1回(術後3か月の写真です) |
費用 | 保険診療適応。自費診療の場合は、眉下切開(上眼瞼余剰皮膚切除)264,000円。 |
リスク、副作用 | 内出血、腫脹、左右差、傷痕など |
たるんだ皮膚が角膜(黒目)までかかってしまうと、上方の視野が阻害されてしまいます。
眼瞼下垂は放置すると、徐々に視野が狭くなり、視力が落ち、日常生活に不便が生じます。
症状例に当てはまる方や、不安な方は是非相談してください。
次回は眼瞼下垂の診断と治療についての紹介になります。